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ブラックリスト「ブラックリスト シーズン6」 ジェームズ・スペイダー(レイモンド・“レッド”・レディントン役)スーパー!ドラマTVオフィシャル・インタビュー

シーズン6を迎えた率直な気持ちを教えてください。また、シーズン6の見所を教えてください。

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「このシーズンに突入したときは非常にワクワクしましたし、シーズンの半分以上の撮影が終わった今、この作品に関われていることが本当に幸運なことだと実感しています。シーズン2か3の頃に私は、この作品は常に変化を続け、観客だけでなく自分たちにも驚きを与え続けられていることが嬉しいと言っていました。この作品には幅広いトーンがあり、時には地味で、時には感情的で、時には非常に強烈で、時には怖く、時にはワクワクし、時にはこうした要素が同時にミックスされたものになります。長期間に渡りこれを維持するのは非常に難しいことですが、実現できると非常に充実感に満たされます。これまで私は他のロングランのTVシリーズに携わってきましたが、こうした作品を書くこと、プロデュースすること、そして演技をすることは、非常に困難なのです。でも成功すると、興味を引き続けてくれる興奮やチャレンジと、自分でも驚くような刺激やキャラクターについての発見が続き、全く想像していなかった新しい境地にたどり着くことができるのです。

シーズン6に入り、エピソード2では、あらゆる事に変化が訪れます。全てが突如ひっくり返り、これまでとは異なったものになります。これまでレッドが生き延び、打ち勝とうとしてきた環境は全く新しいものになります。キャラクター間の関係性も劇的に変化し、それぞれが置かれた新たな状況にどのように対処していくかも、これまでのは全くことなる新しいものとなります。一年で22話続くTVシリーズを自分が作るとしたら、まさにこうした、幅広いトーンや柔軟な物語展開、広がりのある可能性を持った作品にしたいと思いますし、本作でそれが達成できていることには、とても興奮します。最初のエピソードとなったパイロット版の一番最初の脚本を読んだ時、”この作品はどんなものになり得る”と感じたのを覚えていますが、本当にそうなっていますね」

 

 

 

 

 

シーズン5の展開を受けて、レッドとリズの関係は今シーズンではどのように展開していくのでしょうか?

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「ご存知の通り、エリザベス・キーンはシーズン5の終盤で、レッドに関する驚愕の発見をします。ですがその後、彼女は大きな葛藤に直面するわけです。シーズン6の冒頭で、再び大きな変化が訪れます。シーズン5の終わりでは、レッドとリズの関係はひっくり返り、疑問や困惑、葛藤を残したわけですが、シーズン6の冒頭で、リズと彼女の異母姉妹のジェニファーによるとある行動によりまた全てが変わり、レッドにとっては深刻な局面へと急展開していきます。

 

シーズン1の頃から、ストーリーが発展していく中でいつか起きて欲しいと思っていたことがあります。それは、キャラクター間で”今”起きていることが、その関係の背後にあった過去よりも、興味を惹く対象になるということです。彼らの過去や現在、それから彼らの過去から現在、未来を探っていくことがどうでもよくなるというワケではなく、命が脅かされる危険な瞬間を迎えることで、他の全てが凌駕されてしまうということです。そしてこれこそが、シーズン6の冒頭で起きることなんです。

リズのある行動により、レッドは非常に深刻な状況を迎えます。

彼女が自発的にとった行動かどうかは別としてね。

リズはこれまで5つのシーズンを通して、葛藤もあったにせよ、レッドとそれなりの関係を築いてきました。そして彼女は、レッドとの関係自体が、お互いの過去よりも究極的には重要であると気が付き始まるんです。レッドとの関係は彼女にとって非常に心を動かされる魅力的なものなのです。こうした展開を迎えるのは必然だったし、実際にそうなったことに私は非常に興奮しました。二人の過去や秘密、特にレッドの過去や正体には興味をそそられますが、リズのレッドに対する感情、そして二人の関係こそが、結局のところ最も注目される点だと思います」

 

 

 

 

レイモンド・"レッド"・レディントンは、初めて登場してから常に謎に包まれた人物でした。シーズン5で、私たちが見ていたレッドが本物のレディントンではない事実が発覚し、彼の謎がさらに増す展開になりました。彼が謎に包まれている限り、視聴者はこの作品に惹きつけられると思いますか?

「その要素は絶対に必要だと当初から考えていましたし、脚本家たちの非常に素晴らしい貢献によるものです。どのようにすればレッドの謎めいた印象を失うことなく、観客を驚かせ、興味を引きつけ続けさせることができるか。それから、観客をイライラさせることなく物語を展開させ、疑問を明らかにしながらもさらなる疑問を提示することができるか。ジョン・アイゼンドレイスやジョン・ボーケンキャンプら脚本陣と、何年もかけて数え切れないほど議論を重ね、突き詰めてきました。脚本家たちは本当に美しい仕事をしています。撮影は現在シーズン6の後半に入ったところですが、これまで一貫して、レッドの謎めいたキャラクター性が失われることなく、高いレベルのストーリーテリングが維持されています。これが可能だった大きな理由に、この作品では、"謎"の部分をストーリー上で時折棚に上げしてしばらく放置し、その間に物語を深め、そしてまた棚から下ろし再訪するという形式がとられていることがあります。物語を考え脚本を構成する上で、非常に綿密な努力が求められることですよ」

 

 

 

 

レッドはいつも周りの3歩先を行くキャラクターでしたが、今シーズンでは以前ほど先回りできなくなってしまったり、先を見通す力が発見されてしまったりするのでしょうか?
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「(大声で笑い)。すみません、つい笑ってしまいましたが、ちょうどこの話を昨日していたのです。今撮影しているエピソード15が担当の新しい女性監督とね。彼女は素晴らしい監督ですよ。今あなたが話した感じのことをちょうど同じことを言っていた。"視聴者はレッドがいつも2歩先を行っていると思っているようなんだ。レッドの周りにいる、彼のことを追ったりしている人物と比べてね。でもそれは間違った解釈なんだよ"と私は言いました。なぜ彼が2歩先を行っているかのような印象を受けるかは理解できますが、実は彼が先を行くのは1歩だけだったり、ほんの髪の毛ほどだったりする時もあります。時にはすぐ横にいたり、ちょっと後ろにいたりもするんですよ。でも、彼がすぐ後ろや、もしかすると脇にそれたところにいるかもしれないとは誰も思わず、みんな全力で彼のことを追うわけです。彼は先にいると思い込みがちですが、実際はそうではないかもしれないのです。後ろにいるかもしれないのです。これは秘密ですよ(笑)。ちょうど昨日話していたことだったので、質問されてつい笑ってしまいました。

レッドがいつも2歩先にいると感じてしまうのは、彼は先を行かないことに対して全く動じないからです。少し後ろにいても、彼は気にしないのです。多くの人は、遅れを取っていると、「負けてしまった」と、ひどく不安になってしまったりしますが、彼は違います。彼は動きながら素早く考えることに慣れているので、もし全く準備ができていない想定外の状況に陥っても、問題ないわけです。そしてどんな状況でも、彼なりに一つ一つ切り抜けていくだけの実力が彼には備わっています。(視聴者からすると)これは正確に捉えるのが難しい特徴で、違った理解をしてしまうこともあるでしょう。"彼は冷静で落ち着いた人で、なんでも容易に対処できてしまう"、"彼は物事の展開を予測できているので、状況を常にコントロールすることができている"という具合にね。

でも実際のところは違うのです。先に何があるか全くわからない状況に飛び込むことに対し、彼は全く不安を覚えず、どんな状況に陥っても、自分はうまく切り抜け打ち勝つことができるという考えに彼は自信を持っているのです。なぜそのようにいられるのか、私なりに考えてみましたが、彼はいつかは死ぬべき運命であることを受け入れているのでしょうね。彼の行動の源にあるのは、恐怖や不安ではありません。彼は用心深く慎重で、思慮深い人物であり、怯えたり怖がったりしないことは、非常に解放感があります。

これは、レッドのキャラクターがある意味現代に合っている理由なのかもしれません。恐怖心とは、様々な計画を推し進める人々が何度も何度も使ってきたツールで、今日の我々の生活は、恐怖により影響されたり歪められたりします。そのため、恐怖心に全く動じず、恐怖を通して自分の人生や周りの世界と接することを許さない人物というのは、非常に新鮮で魅力的なのだと思います。 そのため、彼は常に2歩、3歩、4歩先を行き状況を掌握できていると捉えがちですが、そうではなく、彼は2歩先を行かないことに対し、全く恐怖を感じないだけなのです。誤解されがちですがね。」

 

 

 

 

 

 

この作品は謎を残したまま終わるべきなのでしょうか。それとも、レッドの正体が明かされるのでしょうか?

「その2つは同時に実現することが可能だと思います。レッドというキャラクターは非常に複雑で、彼のことを"知り"ながらも、"知らない"というのはあり得ると思います。彼とどんなに多くの時間を一緒に過ごしても、まだ彼について知らないことがある、もっと一緒に時間を共にして、より彼のことを知りたいと思うようになると思います。

そのように感じる理由に、レッドが完全に慣れ親しんで安心することができないキャラクターだということがあります。どんなに我々が彼のことを理解していて、馴染みのある存在のように感じていても、時に彼は恐怖を与え、突如急変して何かが起きてしまう可能性があることを忘れることができません。そして我々は不安を感じ、実は何も知らなかったという事に気が付きます。

レッドというキャラクターを描く上でこの点は非常に大事に扱われ、このキャラクター性をこれまで維持できているのは脚本家の努力によるものです。この作品の終わりでは、もっと欲しいという感覚と満足感を同時に感じてもらえると思います。もっと欲しいというのは、先の質問でも答えた通り、この作品のふりだしに戻り、全く異なる捉え方で最後までもう一度観ることができるということです。もちろん休憩を挟んだ後にね(笑)」

 

 

 

 

 

 

 

レッドのキャラクターにおいて、あなたが最尊敬する点は?

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尊敬の念なのか、彼を演じるのには常に驚きと充実感があるからなのかはわかりませんが、レッドが周囲に対し敏感で思いやりのある人物であることに常に驚かされています。彼は周りに存在する全て、人や動物だったり、彼が匂ったり見たり感じたりするものに対して、強い愛と感謝の念も持っています。彼が自分の命がかけがえのないものであると常に意識していて、そのため他の生命や、喪失という概念と現実に対しても、関心を持っています。彼は命が失われるのを頻繁に間近で見ていて、彼自身にもその危険があるために、彼にはそうした感謝の念と敏感さがあるのだと、私は考えるようになりました。命の価値というものに対し非常に敏感なので、感謝し、情け深くなるのだと思います。そして彼は、時には非常に冷酷でありながらも、同時に、その冷酷さの代償も考えている人物なのです。非常に対極的で魅力的な面だと思いますし、彼の内なる葛藤に、私は驚きました。彼には愛情や恋心、ユーモアや感謝の気持ちがありながらも、冷酷で恐ろしい人物になる時もあります。この二面性に非常に驚かされる時もありますが、演じていてとても喜びを感じます」

 

 

 

 

 

 

ひとつの作品が長期間に渡り(視聴者の)興味を引き続けるのに大事な要素とは何でしょう?

「視聴者を何度も何度も驚かせることが必要だと思います。そして、物語の主要な人間関係に変化を与え発展させ、楽しい時もあれば、大きな衝突もあったりと、感情的なメリハリを持たせたることが大事だと思います。それから、視聴者だけでなく、キャラクター同士もがお互いに驚くようなことも必要です。キャラクター同士が馴染みすぎてしまうのは良くなく、衝突は必ず要ります。ある程度の興奮と驚きですね。

 

この作品が上手く進展しているか、私なりに判断する時に考えるのは、物語にまだ驚きがあり、ワクワクさせてくれるか、という点です。もちろん私は当初から全体のストーリーラインを知っていますが、それでも、その終着点へ向かう途中に語られる物語やそこで描かれる景色が、(行き着く先を知っている)私を驚かすことができれば、視聴者にも驚きを与え、興味を引き続けることができるだろうと思いますし、少なくともそう願っています。

今日では本当にたくさんのチャンネルがあり、視聴者には膨大な量の素晴らしい番組が年中供給されているので、非常に難しい環境ではありますし、今のテレビ業界は、ほんの2,3年前と比べても大きく変化しています。ですが、視聴者の期待に応えるような作品を全力で届けられれば、視聴者はその価値を認め、ついて来てくれるのではないでしょうか。そして幸運にも、この作品では実際にそうなっているのだと思います」

 

 

 

 

主演俳優としてではなく製作総指揮の立場から伺いたいのですが、ネタバレについてはいつから気にするようになりましたか?例えば、今のように取材を受ける時にネタバレしないようになったという意味で。

「最初のエピソードのプロモーションで、プレスの取材を受ける様になった時からです。私はパイロット版の時から、脚本のジョン・アイゼンドレイスやジョン・ボーケンキャンプと共に、この物語に取り組んできました。私がレッド役に決まった時、パイロット版の脚本は既に執筆済みでしたが、その日から私は、"こうなるしかないであろう結末"に向けてどのような物語を展開していくのか、ストーリーラインを一緒に練り始めました。今は、我々が当初から想定している、"秘密"の結末に向けて、物語やキャラクターを展開しているわけです」

 

 

 

 

 

シーズン6の冒頭では、レッドが自ら弁護をするシーンがありました。「ボストン・リーガル」で演じたアラン・ショアを思い出すファンも多いと思いますが、法廷での撮影はいかがでしたか?

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「シーズン冒頭の法廷のシーンの撮影は最高でした。『ボストン・リーガル』では非常に長い時間を法廷で過ごしたので、再び戻ってこられて楽しかったですし、私にとって挑戦だったので嬉しかったのです。『ザ・プラクティス ボストン弁護士ファイル』の最終シーズンや『ボストン・リーガル』では非常に長い時間を法廷で過ごしました。本作がその時と異なるのはどこなのか、似通っているのはどこなのかを考えるのは、私にとって挑戦でワクワクしました。それから、(シーズン6での)法廷での撮影に関しては私は経験豊富なので、他のシーンよりも早く済んでしまいます。その日はいつもよりも楽に物事が進みましたよ」

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
世界の文化や芸術に精通するレッドのセリフで、時折日本のことを語るシーンがありますが、スペイダーさんご自身は、日本に関して何か興味はありますか?

「個人的には日本に非常に興味があります。これまで1度しか行ったことがありませんがね。何年も前(おそらく1997年)、私が出演する『2 days トゥー・デイズ』が(第10回)東京国際映画祭で上映された時です。滞在は1週間だけでしたが、素晴らしい時間を過ごしました。私がこれでまで出会った日本の文化はどれも魅惑的で、様々なことに興味があります。日本のアート作品を収集するのが好きで、これまで何年も、日本料理を毎週食べています。それから地理的にも、日本は比較的小さな国にも関わらず本当に様々な文化が広がり、活気ある海辺の街(漁村)があると思えば、山の文化もあって、興味深く思います。何年も前、ロサンゼルスで相撲の大会が開催され見に行ったのですが、本当におもしろかったです。日本に行った時は、相撲部屋へ稽古の様子を見学しに行きたかったくらいです。LACMA(ロサンゼルス郡立美術館)の日本パビリオンのキュレーターが私の友人で、確かあそこは日本国外では最も多くの日本の作品を保有している所だと思うのですが、彼とは本当にたくさんの日本の美術作品を鑑賞しました。ですので、日本は私にとって非常に魅力的で、好奇心が強くそそられます。前回訪れたのはずいぶん昔で短い期間だったので、今度は家族も一緒に連れていき、日本の中でも旅行をしたいと思っています。ちょうど最近、ニューヨークでよく行く日本食レストランのシェフにも早く日本に行きたいと話していて、おすすめの飲食店などを教えてもらっていましたよ。とにかく、私にとって日本は非常に愛着を感じる国です」

 

 

 

 
 
 
 
もし時間を遡って俳優として駆け出しの頃の自分にアドバイスできるとしたら、何と伝えますか?

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「"貯金しろ"。これは冗談でも口先だけで言っていることでもなく、本気です。私がまだ若かった頃、年上の俳優から、"ぜひアドバイスさせてください。貯金しておきなさい"と言われました。私はそれを笑い飛ばし、その仕事の報酬はすぐに使い切ってしまいました。貯金せずにね。俳優にとって貯金があることは、やりたい仕事を選ぶことが可能になり、欲しい役を追うことができることを意味します。これはキャリア形成で有利です。金銭面を仕事を受ける際の重要な判断基準にしなくて良いというのは、キャリア上非常に役立つのです。自分にふさわしくない役に"ノー"と言い、報酬があまり良くなくとも、自分がやるべき役に"イエス"と言えるのは、非常に解放感のあることです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 
【映画評論家/ジャーナリスト 立田敦子】